1962年『渡り鳥北へ帰る』

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　1962年『渡り鳥北へ帰る』　

　　　　★ここでは、クレジットタイトルの採録とともに、各作品を詳細に解説します。過去に出された
　　　　　文献も参考にしながら、Web＠作者が2009年8月4日以降に検証した結果をまとめています。
　　　　　もちろん抜けもあり誤認も含まれているかとは思いますので、あくまでも作品を楽しむための
　　　　　参考としてください。新たな情報をお寄せいただきたいと思います。
　　　　　※当Webの恒例の方式により、“？”の付いている情報は、確定出来ていないものだと考えて
　　　　　ください。“？”の数により曖昧さが増します（笑）。また、“〔カタカナ〕”という表記は
　　　　　漢字表記が確定出来ない名称の表現です。カッコのないカタカナ表記は、そのままで正しいと
　　　　　考えてください。

◆

　　　　　監督：齋藤武市　企画：児井英生　原作：山野良夫　脚本：山崎巌　撮影：高村倉太郎
　　　　　照明：大西美津男　録音：宮永晋　美術：坂口武玄　編集：近藤光雄　助監督：手銭弘善
　　　　　色彩計測：幸田守雄　現像：東洋現像所　製作主任：野村耕祐　音楽：小杉太一郎
　　　　　主題歌　コロムビア・レコード
　　　　　“北帰行”　唄：小林旭
　　　　　挿入歌
　　　　　“ダンチョネ節”“さすらい”“ギターを持った渡り鳥”　唄：小林旭
　　　　　“ソーラン渡り鳥”　唄：こまどり姉妹（コロムビア）
　　　　　“酒場のこぼれ花”　唄：水上早苗（コロムビア）
　　　　　“トロイカ”　唄：田代みどり（テイチク）
　　　　　協賛：函館観光協会、北日本航空株式会社

◆

　　　　　小林旭　…滝伸次
　　　　　　　（元・刑事であるギターの流し。一年前には、バンドでピアノを弾いていたこともある）
　　　　　浅丘ルリ子　…岡田由美（岡田造船所の娘）
　　　　　白木マリ（後に白木万理）　…あけみ（キャバレー“ROXY”のマダム）
　　　　　田代みどり　…みどり（佐伯医院の看護婦）
　　　　　郷エイ治　…“ハジキの政”（漢栄昌の使いだという男。実は刑事・立野〔タツノ〕）
　　　　　青山恭二　…岡田浩一（岡田造船所の息子。
　　　　　　　　　　滝伸次のいたバンドのギター奏者だった。麻薬中毒患者となった後、射殺される）
　　　　　内田良平　…黒川（キャバレー“ROXY”を営む金融業者の社長）
　　　　　深江章喜　…“シゲ”（黒川の子分）
　　　　　近藤宏　…“ハジキの政”（本物の“ハジキの政”。実は岡田浩一を殺した犯人）
　　　　　小園蓉子　…秋野幸江〔ユキエ〕（岡田浩一の内縁の妻。キャバレー“ROXY”の下働き）
　　　　　　※亡くなった後の墓碑には、“岡田幸江”と書かれてあります。
　　　　　こまどり姉妹〔コロムビア〕　…キャバレー“ROXY”に出演している歌手
　　　　　山田禅二　…〔ハマダ〕（岡田造船所を訪ねて来る金貸し。黒川の仲間でもある）
　　　　　河上信夫（後に河上喜史朗）　…柳（刑事）
　　　　　島津雅彦　…秋野良太（秋野幸江の息子）
　　　　　雪丘恵介　…商工組合中央金庫函館支店の課長
　　　　　青木富夫　…“テツ”（黒川の子分。チェック柄のマフラーを巻いて帽子をかぶった男）
　　　　　星ナオミ　…キャバレー“ROXY”のダンサー（赤い衣裳の女性）
　　　　　弘松三郎　…山岸（黒川の子分）
　　　　　黒田剛　…黒川の子分（巨漢）
　　　　　島村謙二（後に島村謙次）　…滝伸次がギターで流す酒場の客
　　　　　　　　　　　　　（滝伸次に「よっ、お兄さん、一杯行こう！」と言うカウンター席の男性）
　　　　　光沢でんすけ（後に光でんすけ）
　　　　　　…大衆酒場“北海”の客（カウンター席にいて入って来た滝伸次に振り返る男性）
　　　　　榎木兵衛　…黒川の子分
　　　　　瀬山孝司　…黒川の子分（鳥打ち帽をかぶった男）
　　　　　小林亘　…黒川の子分（スタジアムジャンパーを着て帽子をかぶった男）
　　　　　二階堂郁夫　…大衆酒場“北海”の客（カウンター席にいる毛皮の帽子をかぶった男性）
　　　　　野村隆　…キャバレー“ROXY”のバーテン（細いほうの男性）
　　　　　沢美鶴　…
　　　　　倉田栄三　…黒川の子分
　　　　　都晃二郎　…黒川の子分（ニットの三角帽をかぶった男性）？
　　　　　岡村佶　…
　　　　　アール・エンゼル　…キャバレー“ROXY”のダンサー（緑色の衣裳の女性）
　　　　　水上早苗〔コロムビア〕　…キャバレー“ROXY”に出演している歌手
　　　　　漆沢政子〔振付〕
　　　　　高瀬将敏〔技斗〕
　　　　　二本柳寛　…漢栄昌〔カン・エイショウ〕（東京から来る麻薬ルートの元締め）
　　　　　佐々木孝丸　…岡田治五郎（岡田造船所の経営者）
　　　　　小沢栄太郎　…佐伯（函館にある内科・外科の病院である佐伯医院の院長）

　　　　　以降、主なクレジットなしの出演者

　　　　　小野武雄？　…救急隊員（岡田浩一を運ぶメガネの男性）
　　　　　　…商工組合中央金庫函館支店の行員
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（座って事務仕事をしている額の上がった男性）〔二役〕
　　　　　三谷龍男（後に三谷忠雄）　…救急隊員（岡田浩一を運ぶ男性）？
　　　　　　…岡田造船所の社員（会社の備品が持ち出された後、整理をしている男性）〔二役〕
　　　　　土田義雄　…北海道への飛行機の乗客（滝伸次の後ろの席の男性）
　　　　　菅原義夫　…岡田造船所の社員（滝伸次が来た時、画面左奥の書棚の前にいる男性）
　　　　　秋山耕志　…岡田造船所の社員（滝伸次が来た時、座って事務仕事をしている男性）
　　　　　田畑善彦　…キャバレー“ROXY”のバーテン（巨漢）
　　　　　矢頭健男（後に矢頭保／写真家）　…函館の屋台のおでん屋“三平”の客
　　　　　　　　　　　　　　　　　（滝伸次が“ハジキの政”について訪ねる船員帽をかぶった男性）
　　　　　近江大介　…函館の屋台のおでん屋“三平”の客
　　　　　　　　　　　　　　　　（滝伸次が“ハジキの政”について訪ねる黒い帽子をかぶった男性）
　　　　　柴田新三
　　　　　　…バーの客（滝伸次が“ハジキの政”について訪ねるバーのカウンター席にいる男性）
　　　　　立石日佐子　…バーの客（滝伸次が入ったバーのカウンター席にいる緑色の衣裳の女性）
　　　　　立川博　…滝伸次のいたバンドのサキソフォン奏者
　　　　　小島忠夫　　…滝伸次のいたバンドのヴィブラフォン奏者
　　　　　田中滋
　　　　　　…街角のアベックの男性（雪の中、バンド時代のことを思い出す滝伸次の後ろを通る男性）
　　　　　　…街角の通行人（ギターの弾き語りをして歩く滝伸次とすれ違うメガネの男性）〔二役〕
　　　　　石崎克巳？　…商工組合中央金庫函館支店の行員（右腕に黒い腕抜きを付けた男性）
　　　　　水川国也
　　　　　　…キャバレー“ROXY”のバーテン（こまどり姉妹が歌う時には、あけみの後ろにいる男性）
　　　　　斉藤倫子？　…キャバレー“ROXY”のホステス？
　　　　　　　（こまどり姉妹が歌う時、あけみの後ろのカウンター席にいるネックレスを付けた女性）
　　　　　新村猛　…街角の通行人（ギターの弾き語りをして歩く滝伸次とすれ違う白いコートの男性）
　　　　　北出桂子　…大衆酒場“北海”の仲居
　　　　　　　　　　　　　　　（出入り口のそばのカウンター席で男性客にビールを注いでいる女性）
　　　　　　…キャバレー“ROXY”のホステス
　　　　　　　　　（滝伸次が二階から歌って出て来る時、カウンター席にいる赤い髪の女性）〔二役〕
　　　　　和田みどり　…大衆酒場“北海”の仲居（カウンター席にいる赤い着物の女性）
　　　　　中平哲弥（後に中平哲仟）
　　　　　　…大衆酒場“北海”の客（カウンター席にいるチェック柄のマフラーを首に巻いた男性）
　　　　　宮沢尚子？　…大衆酒場“北海”の仲居（カウンター席にいる白と黒の格子柄の着物の女性）
　　　　　渡辺節子？　…大衆酒場“北海”の仲居（カウンター席にいるタバコを吸っている女性）
　　　　　露木護　…滝伸次がギターで流す酒場（“千歳鶴”という清酒の？暖簾あり）の客
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（壁際のテーブル席にいる青い衣裳の男性）
　　　　　朝香奈緒美
　　　　　　…滝伸次がギターで流す酒場の仲居（壁際のテーブル席にいる緑色の和服の女性）
　　　　　英原穣二
　　　　　　…滝伸次がギターで流す酒場の客（壁際の般若のお面の前あたりでタバコを吸う男性）
　　　　　小柴隆（後に小柴尋詩）
　　　　　　…滝伸次がギターで流す酒場の客（滝伸次に酒を勧める男性の右隣／画面奥の席の男性）
　　　　　平塚仁郎　…滝伸次がギターで流す酒場の客
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（滝伸次に酒を勧める男性の右隣／画面奥へ二番目の席の男性）
　　　　　川口道江　…滝伸次がギターで流す酒場の仲居
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（カウンターの中から客にお酌をする緑色の和服の女性）
　　　　　川倉泰彦（後に矢藤昌宏）
　　　　　　…滝伸次がギターで流す酒場の客（カウンター奥で画面の正面を向いている男性）
　　　　　東郷秀美　…キャバレー“ROXY”の客
　　　　　　　　　　　　　（滝伸次が二階から歌って出て来る時、カウンター席にいるメガネの男性）
　　　　　興梠佐智子？　…キャバレー“ROXY”の客
　　　　　　　　（滝伸次が二階から歌って出て来る時、カウンター席にいるポニーテールの髪の女性）

◆ ◆ ◆

　　　　　●“渡り鳥”シリーズ第8作『渡り鳥北へ帰る』。主題歌は“北帰行”、挿入歌（流しをする
　　　　　シーンで歌う）は“ダンチョネ節”“さすらい”他。舞台は第1作と同じ函館。しかし不思議
　　　　　なのは、第1作の登場人物が誰一人として出てこないということ（笑）。普通、会いに行きま
　　　　　せんか？…などという大人げない突っ込みはなしということで（笑）。

　　　　　今回は滝伸次（小林旭）が、昔、バンド仲間だった（…しかし、そもそも滝伸次は刑事だった
　　　　　はず？）岡田浩一（青山恭二）を麻薬中毒にして殺したという“ハジキの政”を追って函館に
　　　　　現われるところから始まります。タクシーの前に飛び出してきて捻挫した少年・秋野良太（島
　　　　　津雅彦）を病院へ連れて行くことに。少年の母・秋野幸江（小園蓉子）は何と浩一の内縁の妻
　　　　　で、彼女は浩一の父・治五郎（佐々木孝丸）が営む造船所を乗っ取ろうとしている悪玉・黒川
　　　　　（内田良平）の元愛人。その義妹にあたるのが治五郎の娘・由美（浅丘ルリ子）。東京から麻
　　　　　薬の取り引きに来るボス・漢栄昌〔カン・エイショウ〕（二本柳寛）の先乗りとしてやってき
　　　　　たという“ハジキの政”（郷エイ治）は、黒川の営むキャバレー“ROXY”（今回は白木マリ
　　　　　〔現・万理〕さん扮するマダムのあけみと伸次がとてもイイ感じの付き合いをします）に到着
　　　　　した時、黒川に突き飛ばされた幸江を抱きとめ、

　　　　　政　　「来る早々、女を抱けるとは思わなかったぜ」

　　　　　…後に政は伸次を倉庫に呼び出し、手を引けと言います。しかし親友だった浩一の仇を討つと
　　　　いう伸次に、

　　　　　政　　「その前に多分おめえがやられるぜ」

　　　　　と、銃を抜き、伸次に突きつけ、そして倉庫の高い天井の電灯を続けて二個撃ち飛ばします。

　　　　　政　　「試してみな。自分の腕が判ったら、早いとこバカなことはやめるんだ」

　　　　　銃を受け取った伸次は、振り返りざま、やはり天井の電灯を続けて二個撃ち飛ばします。

　　　　　伸次　「その野郎（政のことですが）に伝えといてくれ。今度会った時は遠慮はいらねぇって
　　　　　　　　　な。ハジキも二挺用意しときな。一挺は俺の分だ」
　　　　　政　「…よし、伝えとこう」

　　　　　…ついに漢栄昌が到着することになり、政はその前に伸次をバラすと言って店を出て行きます
　　　　　。それを伸次に知らせに行こうとするマダム。そして丘の上に立つ政の姿がなかなかカッコい
　　　　　いのです。

　　　　　政　　「わりと勘がイイじゃねえかよ」
　　　　　伸次　「政…」
　　　　　政　　「約束通り、サシで話をつけよう」
　　　　　伸次　「待ってたぜ」

　　　　　海の見える断崖の道で（多分、見物客が多く、人のいない方向を写すための苦肉の策では？。
　　　　　笑）、対峙する伸次と政。

　　　　　政　　「どうしてもか」
　　　　　伸次　「ハジキを出しなよ」
　　　　　政　　「こいつは20メートルで右へ2センチ切れる。こいつは左に3センチ。どっちにする？」
　　　　　伸次　「どちらでも」

　　　　　…実はこの政がニセ者で、本物の“ハジキの政”（近藤宏）は漢栄昌と一緒にいることを知る
　　　　　黒川たち（観客も）。伸次は陰からシゲ（深江章喜）に撃たれ、崖から落ちます。シゲはニセ
　　　　　者の政が撃つことに。

　　　　　…“ROXY”にシゲが戻ってきてフロアにバッタリ倒れます。口笛（『ギターを持った渡り鳥
　　　　　』の挿入歌である“地獄のキラー”のメロディ）とともに伸次が現われ、その場は大乱闘にな
　　　　　ります。ここでも小林旭さんは二階の回廊から手すりを飛び越えて、階下に着地、そのまま暴
　　　　　れるという動きを簡単に行ないます。黒川を追い詰める伸次。子分どもはニセ者の政に銃をは
　　　　　じき飛ばされます。

　　　　　政　　「おめえたちは俺がお守〔もり〕してやるぜ」

　　　　　黒川は彼を恨むマダムに撃たれてしまいます。マダムも腕を撃たれますが、伸次に逃げた漢栄
　　　　　昌を飛行場に追うようにうながします。警官隊が登場。ニセ者の政は、実は立野〔タツノ〕と
　　　　　いう刑事だったのです。飛行場で本物の政と漢栄昌を倒す伸次。

　　　　　…大団円の後、函館駅前（乗船場？）で立野が呼んでおいたという由美と伸次は再会を約束し
　　　　　ます。船が港から離れ、主題歌が流れます。シリーズ最終作だからなのか、このシリーズにし
　　　　　ては珍しく、しっかりヒロインに見送られます。

　　　　♪潮の匂いが　する町が
　　　　　どこも　俺には　ふるさとさ
　　　　　一人ぼっちの　さみしさも
　　　　　ギター　おまえを爪弾けば
　　　　　指に　からむよ　潮の匂い（1番の歌詞ではない）

　　　　　…この作品を最後に、“渡り鳥”は何処かへ飛び立って行ってしまったのでした。

LAST UP DATE ◆ 2013年7月25日
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