太陽海を染めるとき

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太陽海を染めるとき

　　　　何だか、いつもの小林旭さんの主演作品とは雰囲気が違うのです。舛田利雄監督との組み合わせ
　　　　によるものかもしれませんね？？？。

◆ ◆ ◆

　　　　海を行く帆船をバックに主題歌が流れ、タイトルだけ出ます。商船大学最後の航海。同期生と手
　　　　を握り合う主人公・北川功。…二年が過ぎた（…とテロップが）。

　　　　夜の呉の港。商売女たちとジャレ合いながら、“海員ホテル”のバーへ飛び込んでくる“スクラ
　　　　ップ”と“海坊主”、カウンターの中に隠れる。その二人を殴りつける“海員ホテル”の娘・弘
　　　　子。

　　　　弘子　「このスケベ野郎！」（浅丘ルリ子さんの口から出ると、何て素敵なセリフに！。笑）

　　　　皆にジャジャ馬娘とからかわれます。彼ら荒くれ者たちの船・日本丸が出航しないのは新任のセ
　　　　コンドオフィサーの到着が遅れているからだとか。バーのママがカードで占うと「ハンサムで…
　　　　キップが良くて…あー、凄い暴れん坊！」。それを聞いてカウンターの端に座っていた女が出て
　　　　行きます。そこへ「外で大喧嘩が！」という知らせが入り、ママがカードを開くと、クラブのエ
　　　　ース…「そいつだよ」と（笑）。船員たちは走り出ていく。また主題歌が流れ、クレジットが始
　　　　まります。船員たちが行く先々の店やホテルはボロボロ、やっと見つけた店でまだ大暴れしてい
　　　　る男・北川は店のカウンターから階段の手すりへ飛び移り、シャンデリアにブラ下がったりの大
　　　　暴れ（もちろん吹き替えなし！）。クレジットが終わり、大喧嘩も一段落、北川はタクシーを拾
　　　　い、日本丸へ。ところが先のカウンターの女が先に乗っていて、彼女と一緒に“海員ホテル”へ
　　　　戻ることに。酔って眠った北川は女の連れの部屋へ連れていかれ、洗面所で水をかけられ目覚め
　　　　る。男は商船大学で同期生だった大森で、今ではヤクザ。彼は愛人である冴子とブラジルへ逃げ
　　　　る予定なのだった。怒る北川だが、酒に睡眠薬をモラれたようで、気を失う。どうやら大森は北
　　　　川に成り済ますつもりらしく、船員手帳などを奪う。時計店を装った偽造屋に現われた大森だが
　　　　、店の金は手配写真を持っていて、港を牛耳るヤクザのボスである飯岡に通報する。そこには大
　　　　森を追ってきた大森のいた権藤組の男たち二人が東京から来ている。二人は大森を逃がすのかと
　　　　詰め寄るが、飯岡は黒幕のところに連れて行き、日本丸を所有する会社を乗っ取る算段を始める。

　　　　…翌朝、大森は北川に、女は客に成り済まし日本丸へ。ホテルの部屋で目覚めた北川は時計を見
　　　　て慌てるが、ドアには鍵が。ドアをブチ破ろうとするので、その騒ぎに気付いた弘子が部屋へ。
　　　　ドアを蹴破った北川と弘子は廊下で絡む。ジーンズの上下姿で男勝りな弘子は、「何するんだよ
　　　　ー！」「放せ！、コノヤロー！」と勇ましいが、港へ行く近道を教えろと言う北川は彼女を小脇
　　　　にはさんで（笑）、そのまま階段を下り、港まで走る（やはり吹き替えなし！。危険なシーンだ
　　　　と思うんです、ルリ子さんにとっても。しかし、そのあたりは信頼というもので成り立っている丸
　　　　のでしょうね）。桟橋でわめく弘子を放す。ホテルの小船で沖の日本へ。荷物を甲板に放り投げ
　　　　ロープを登って行く北川、弘子に振り返って、

　　　　北川　「有難う！。おかげで間に合ったよ。もっと女の子らしくするんだな。綺麗になるぜ！」

　　　　弘子は小船に立ち、睨み付けながら、

　　　　弘子「くそー…」（笑。可愛い！）

　　　　船員手帳がないので、ボースンの“海坊主”に殴られる北川だが、そこへ大森がやってきて、二
　　　　人は格闘になり、荷揚げ用のリフトにまで乗って戦う。大森はホテルの小船で逃げる。飯岡たち
　　　　が現われ、船を家捜しして、冴子を連れて行く。

　　　　弘子　「あんたたち、それでも海の男なの？。女が連れて行かれるのを黙って見てンのかよ！」

　　　　怒鳴る弘子を止める北川は、リーダーに本物だと言うなら殴ってみろと言われ、一発でノックア
　　　　ウトして納得させる（弘子はニヤニヤ笑っている。笑）。積荷の船が港へ戻っていき、船主は北
　　　　川が大森を逃がしたからだと怒る。また出航出来なくなった。

　　　　…ホテルに現われ、バッタリ倒れた冴子、背中は拷問の跡で傷だらけ。北川を探しに出る弘子だ
　　　　が今日は港の祭りの日（お決まりですね。笑）。北川は大森が横領した600万円を返せば出航
　　　　出来るということ知り、飯岡に掛け合いに行っていたのだが、そこで子分どもに絡まれているみ
　　　　どり（船が出航しないので、花を売って稼いでいた）を助け、祭りに集った大観衆（物凄い数！
　　　　）の前で二人で歌い出す（やはりお決まり）。弘子と一緒にホテルに帰ると、医師の治療を受け
　　　　た冴子が寝ているが、大森の居場所は教えないまま。ブラジルへ行こうとする加代の連れの黒人
　　　　男性が歌い出す。

　　　　…雨の日。北川が黒幕である〔ダイセイ〕海運側と会いに行ったというので、船員たちもその現
　　　　場である飯岡の営むバーへ急ぐ。宮本が引き抜きの提案をするが、北川は契約書を破り捨て、船
　　　　員たちも含め、飯岡の子分どもと大乱闘になる。ホテルへ戻って、ママのおごりで祝宴を上げる
　　　　が、船長は喧嘩に勝つことより、船を出すことが大事だと言う。再度、冴子に大森の居場所を訪
　　　　ねる北川。答えはしない冴子だが、タバコの箱の裏に地図を描いてよこす。出て行く北川を尾行
　　　　しようとした飯岡の子分たちは、ボースンの手で海へ…。

　　　　…夕焼けの岸壁で大森と会い、話す北川。その後、大森の潜伏先へ。しかし、二人で出かけよう
　　　　とした時、列車が通りかかったのに合わせて、待ち伏せていた権藤組の子分たちが発砲するので
　　　　大森は「やはりヤクザは汚い」と金の入ったバッグを貨車の最後尾に投げ入れ、飛び乗る。北川
　　　　も飛びつくが大森がふりほどき、北川はついに走る貨車から落ちてしまう（ここでも旭さん、吹
　　　　き替えなしのようです）。

　　　　…ホテルで北川の手の甲の治療をする弘子は、「人のことよりも自分に気をつけたらどう？」と
　　　　注意するが、北川に「君らしくないな」と言われスネる（笑）。その後、弘子の操縦するボート
　　　　に乗せてもらって船に戻った北川は、船主から船長が「北川を降ろせ！」と叱られているのを立
　　　　ち聞いてしまう。その時、壁の消火器が落ちてしまい、船長に立ち聞きを気付かれたようだ…。

　　　　…甲板でサボっている船員たち。北川が遅いので、「女でも出来て寝坊したのか？」とか「相手
　　　　は誰だ？」「弘子か？」「あんな色気のない…」などと言っていると、そこへ「お早うございま
　　　　す」という女性が現われる。白いハイヒール（足元から上へ順にカメラはパンしていきます）に
　　　　花柄のワンピース、アップにまとめていた髪も下ろし化粧までしている、いつもと全く違う弘子
　　　　が！。船員たちは驚く。着いてきたみどりも笑う。ここで、“どうだ！（綺麗だろ）”と言わん
　　　　ばかりの弘子が周りを見て笑うところが抜群に可愛いのです。

　　　　弘子　「あ、あの、北川さんは？」

　　　　と、おしとやかに尋ねるのだが、船員たちは呆れているだけなので、だんだん表情が変わってき
　　　　て、ついには、

　　　　弘子　「…バカヤロー！！、さっさと仕事しなよー！」

　　　　そこへコックの“ライス”が子供が生まれたと喜んでやってくる。船員たちは喜ぶが双子だと聞
　　　　いた弘子は「みんな、何喜んでるんだよ！。お金だって倍かかるんだよ！」と、コックの帽子を
　　　　取って、寄付金を集め出す。辞表を出してきた北川も寄付するが、〔ダイセイ〕海運へ行くとい
　　　　うので、全員驚く。「嘘だ！」と言う弘子。やってきた船長に真偽を確かめる船員たちだが、北
　　　　川が全てを知ってのことだと判っている船長は、わざと北川を殴って出て行かせる。「イヤだ！
　　　　」という弘子に仕方なしに港まで送ってもらう。そこへ宮本たちが。すでにパーサーから話が流
　　　　れていたのだが、北川は宮本を殴って海へ突き落とす。

　　　　…弘子は服を脱ぎ捨てて、いつものジーンズ姿に。それを見つめるママに、

　　　　弘子　「ママ、文句あンの？」
　　　　ママ　「ないよ」
　　　　弘子　「誰も好きになってやるもんか！」（…と髪をまとめる。可愛い！）
　　　　ママ　「だけど北川さん、そんな奴じゃないよ」
　　　　弘子　「占いを信じろって言うの？」
　　　　ママ　「ママはね、ここで生まれて40年間、ずーっと男を見てきたがね、占いはハズれること
　　　　　　　　はあっても、ママの目に狂いはなかったね」

　　　　口紅をぬぐっている弘子。

　　　　冴子が出て行く。北川から電話が入り、ママは冴子が遊園地の楽々園に向かったと告げる。遊園
　　　　地で呼び出しのアナウンスを耳にした冴子は、大森からの電話で、権藤組の子分たちの尾行をま
　　　　くために宮島へ行くよう、指示される。冴子に追い付いた北川もロープウェイで宮島の山頂へ。
　　　　ところが権藤の組の二人に捕まった大森とすれ違ってしまう。北川は冴子をホテルに戻らせて、
　　　　自分は飯岡の元へ。弘子は北川の話が全部嘘だったと知り、「ママ、どうしよう！？」とママに
　　　　抱きつく。ママにうながされ日本丸へと急ぐ弘子。

　　　　飯岡のバーのあるビルの地下室でリンチを受けている大森。そこへやって来た北川は、ドアが開
　　　　かないのでエレベーターのワイヤーを伝わって地下へ（旭さんにはこんなアクション、チョロい
　　　　チョロい！）。子分の銃を取り上げ、北川は大森を担いで出て行こうとするが、倒れた缶からこ
　　　　ぼれた油に足を奪われコケてしまう。銃撃戦。北川は大森に銃を握らせ、こっそり敵に近付き大
　　　　乱闘に。日本丸の船員たちもかけつけてくる。北川はガスバーナーに火を着け、銃を持つ男たち
　　　　に応戦する。そこへ警官隊が登場、何とボースンや“スクラップ”までが手錠をかけられてしま
　　　　う（笑）。

　　　　…ついに出航の日。船員たちは北川に殴られようとするが、裏切り者はパーサーだと聞き、これ
　　　　を追い詰めて海へ落とす。しかし、パーサーがいないと船がまた出ないということになるが、船
　　　　長が大森を連れてくる。“スクラップ”が、自分を倒したら認めてやろうと、ボースンのマネを
　　　　する。北川が「就職試験だ。遠慮せずに思い切り殴れ」と、うながすので、痛めつけられた足に
　　　　杖をついてはいるが、大森のパンチは“スクラップ”をノックアウトさせる（笑）。全員が大笑
　　　　いする中、出航となる。見送る冴子と弘子、ママ。一か月は会えなくなるらしい。ママが、

　　　　ママ　「たった一か月しかないのかね、結婚式の準備をしようっていうのに…」

　　　　自分のことかと勘違いして照れる弘子に、

　　　　ママ　「おまえじゃないよ！。バーカだね…北川さんを捕まえようと思ったら、本当の女になら
　　　　　　　　なきゃ…」
　　　　弘子　「じゃあ、あたしは女じゃないっていうの！？」
　　　　ママ　「さあ、それだから、まだまだ…」

　　　　“しまった”と反省する弘子。みどりが甲板にやってきて、北川に歌ってもらう。主題歌が流れ
　　　　て…終。

◆ ◆ ◆

　　　　…作品自体の出来はそれほどではないかもしれませんが、ここではヒロインの浅丘ルリ子さんが
　　　　いつもの浅丘ルリ子さんではなく、男勝りな娘に扮していて、それだけで見る価値があるという
　　　　ものです。小林旭さんの体の動きの見事さは言うまでもありません。

LAST UP DATE ◆ 2008年11月15日