裕次郎よ永遠に！アゲイン・ユー

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裕次郎よ永遠に！アゲイン・ユー

　　　　　ここでは1987年に日活から出されたオリジナルビデオ作品『裕次郎よ永遠に！アゲイン・ユ
　　　　　ー』を紹介します。これは、84年の映画『アゲイン』の“石原裕次郎版”みたいなもの。石
　　　　　原裕次郎さんの出演作品のみを編集しています。ただ、いわゆる今どきのDVDなどにおける
　　　　　リマスター版のような処理はなされていないのでしょうから、画面は綺麗だったり粗かったり
　　　　　と、バラバラな感じでもあります（笑）。またこのビデオの収録作品数が34作で、もしかし
　　　　　たらこの数字がキネマ旬報の年鑑での『アゲイン』の収録作品数が“34作”となっている誤
　　　　　解に繋がっているのかもしれませんね。

◆ ◆ ◆

　　　　　オープニング。ドラムの音をバックに、車のそばに立つ石原裕次郎さん（静止画）が映し出さ
　　　　　れ、日活のマークが出ます。

　　　　　●まずは『嵐を呼ぶ男』の中から、石原裕次郎さんがバーで大乱闘をするシーン。大勢の野次
　　　　　馬に混じって北原三枝さんや岡田真澄（後に眞澄）さんがその様子を覗いています。続いては
　　　　　有名なドラム合戦のシーン。「♪おいらはドラマー～」。ここで、『裕次郎よ永遠に！アゲイ
　　　　　ン・ユー』というタイトルが出ます。

　　　　　●『太陽の季節』で石原裕次郎さんや木下雅弘さん、佐野浅夫さんたちがヨットを浜辺に運ぶ
　　　　　シーン。女の子たちが集まってきます。そして海へ出るシーン。

　　　　　●『狂った果実』から。北原三枝さん扮するヒロインと海で出会うシーン。そして石原裕次郎
　　　　　さんがウクレレで弾き語りをするダンスパーティーのシーン。庭で北原三枝さんと会話をして
　　　　　無理やりキスしようとするシーン。「…俺と浮気しようじゃねえか」。

　　　　　●『勝利者』からは三橋達也さんと口論になるシーン、そしてボクシングの試合のシーン。

　　　　　●『俺は待ってるぜ』からは、元ボクサーである悪玉に扮した二谷英明さんとの壮絶な殴り合
　　　　　いを見せるラストシーン。北原三枝さんに支えられ、鉄橋を渡ってレストランへ帰って行きま
　　　　　す。

　　　　　●『乳母車』からは、森永主催の赤ちゃん大会のシーン。石原裕次郎さん扮する主人公は、芦
　　　　　川いづみさん扮するヒロインとで夫婦ということにして、姉の赤ん坊を参加させ、三等の賞品
　　　　　である乳母車を受け取ります。

　　　　　●『陽のあたる坂道』からは、北原三枝さん扮する女子大生が、初めて石原裕次郎さん扮する
　　　　　主人公の屋敷を訪ねて来るシーン。怪しげな彼の憲法により、胸元を突っつかれてしまい…。
　　　　　「そんな憲法、認めるわけに行きません！」。

　　　　　●数枚の作品のポスターが登場した後、『錆びたナイフ』から。石原裕次郎さん扮する主人公
　　　　　の営むバー・キャマラードのシーン。客に扮するのは北原三枝さんと弘松三郎さん。カウンタ
　　　　　ーの奥には、バーテンダー役の小林旭さんがいます。そして、ラスト、ナイフを抜き清水将夫
　　　　　さんとの対決シーン。

　　　　　●『風速40米』から。嵐の中、ビルの建設現場での敵味方入り乱れての乱闘シーン。そして北
　　　　　原三枝さんとともにボートで沖へ出るラストシーン。主題歌が朗々と流れます。

　　　　　●『明日は明日の風が吹く』からは、金子信雄さんと青山恭二さんとの三兄弟で夜明けを眺め
　　　　　るラストシーン。「くよくよすンなよ。明日は明日の風が吹かあ」。

　　　　　●『赤い波止場』から、高台の家から海の彼方を見つめる石原裕次郎さん扮する主人公。中原
　　　　　早苗さん扮する愛人がそばに寄ってきます。そして港を歩くシーン。少年からハーモニカを借
　　　　　りて“青い目のお人形”を吹きます。少年を呼びに来るのは北原三枝さん。

　　　　　●『清水の暴れん坊』からはラストシーン。赤木圭一郎さん扮する青年が銃を発砲します。マ
　　　　　イクで話しかける石原裕次郎さん扮する主人公。このシーン、カットされずに最後まで、かな
　　　　　り長く収録されています。

　　　　　●『銀座の恋の物語』からは、巻頭、石原裕次郎さんが人力車を引いているシーンを。星ナオ
　　　　　ミさん扮する芸者さんが言います。「ちょっと、アルバイトさん、もう少し静かに走れないの
　　　　　？。あー、目が回るわ。スピード違反よ」。そして、ラストシーン。同じく星ナオミさんが人
　　　　　力車で通りがかり（ここでの車夫は河上信夫〔後に喜史朗〕さん）、主人公と浅丘ルリ子さん
　　　　　扮するヒロインが歩く姿を見守ります。江利チエミさん扮する婦警さんも通りがかります。こ
　　　　　こでなぜか、シーンは時間軸を逆戻り、ヒロインが事故に遭うシーン、そしておもちゃのピア
　　　　　ノを弾いてヒロインの記憶が戻るシーンが登場します。

　　　　　●『憎いあンちくしょう』からは、石原裕次郎さんの乗るジープが大阪に到着して、記者や野
　　　　　次馬に囲まれるシーンから。続いては、博多での祭りのシーンから。浅丘ルリ子さん扮するヒ
　　　　　ロインを雑踏の中から連れ出します。ラストシーン、二人は山中の草原に倒れ込みます。

　　　　　●『あいつと私』からは、大学でのクラスメイトである女性たちに問いつめられ、プールに突
　　　　　き落とされるシーン。水から上がった石原裕次郎さん扮する主人公は、女性ものの服を着せら
　　　　　れ、芦川いづみさん扮するヒロインの屋敷に連れて行かれます。細川ちか子さん扮するヒロイ
　　　　　ンの祖母が言います。「わたしゃまた、孫娘が、オカマ屋さんとやらいうものを連れて来たの
　　　　　かと思って、びっくりしましたよ」。続いては、嵐の夜の山のロッジでの主人公とヒロインの
　　　　　キスシーンです。

　　　　　●『白銀城の対決』からは山でのスキーのシーンを。

　　　　　●『若い人』からは、吉永小百合さん扮するヒロインが遅刻をしてくるシーンから。そして修
　　　　　学旅行の東京での夜、ヒロインが姿を消し、それを探し回ることになります。雨の中、探し当
　　　　　てたヒロインが言います。「どこへも行くところがないんだもん」。

　　　　　●『零戦黒雲一家』からは、石原裕次郎さん扮する主人公の乗る戦闘機が島に到着するシーン
　　　　　から。ならず者の集団である隊員たちと顔を合わせます。そして、ドラム缶風呂に入って、鼻
　　　　　歌を歌います。背中を流すのは高品格さん。続いては空中戦のシーン。

　　　　　●『零戦黒雲一家』の空中戦のシーンから一転、『紅の翼』でのラストのセスナの飛行シーン
　　　　　から。セスナは島の空港のそばの草原に突っ込んでしまいます。葵真木子さんたちが逃げます
　　　　　ね（笑）。ケガをした主人公は、なおも「後ろに、後ろの座席に、破傷風の血清があるんだ。
　　　　　早く子供に…」。

　　　　　●『花と竜』からは沖に停泊した船での荷揚げのシーンから。井上昭文さん扮するライバルと
　　　　　対峙して証文を破り捨てます。続いては、敵の襲来に備えて準備をするシーン。たらいで両手
　　　　　に持ったドスを洗い清めます。そして、ラストの雪の積もる神社での対決シーン。

　　　　　●『幕末太陽伝』からはフランキー堺さんとの入浴シーン。そして小林旭さん扮する血気盛ん
　　　　　な久坂玄端が怒っています。「馬鹿もん！」（笑）。

　　　　　●『昭和のいのち』から。浅丘ルリ子さん扮する元恋人の娼婦とのシーン。そして、浜美枝さ
　　　　　ん扮するテキヤの親分の娘と別れ、敵地に向かうシーンです。

　　　　　●『太陽への脱出』から。まず機関銃の試し撃ちをしてゲリラたちを驚かせます。自分が経営
　　　　　するバーのピアノで弾き語りをする石原裕次郎さん扮する主人公。岩崎加根子さん扮するヒロ
　　　　　インとの寺院でのシーンをはさんで、日本の銃器工場で兇弾に倒れるラストシーンです。

　　　　　●『闘牛に賭ける男』からは闘牛場でのシーン。係員とモメる主人公を見るのは、北原三枝さ
　　　　　んと二谷英明さん。そして港の突堤でのシーンです。北原三枝さんとの最後の共演作品。

　　　　　●『世界を賭ける恋』からパリでのロケシーン。セーヌ川を船で観光する石原裕次郎さん。

　　　　　●再び、数枚の作品のポスターが登場した後、『夜霧のブルース』から。帰郷しようとする浅
　　　　　丘ルリ子さん扮するヒロインを列車の中で捕まえるシーン。そして、組から抜けるのなら指を
　　　　　詰めろと言われるシーン。

　　　　　●『赤いハンカチ』からは、横浜のホテル・ニューグランドの前に石原裕次郎さんが立ってい
　　　　　るのを浅丘ルリ子さんが発見するシーン。そして、主人公がギターで主題歌を歌い、流しをす
　　　　　るシーンです。柳瀬志郎さんたち扮するヤクザが迫って来ます。それに続く路地裏の工事現場
　　　　　での大乱闘シーン。深江章喜さん扮する兄貴分の憎々しい表情が効いています（笑）。続いて
　　　　　はホテルに戻って来た主人公とヒロインとの再会のシーン。ラスト、二谷英明さん扮する、自
　　　　　分を裏った元・刑事の友人と対峙するシーンです。

　　　　　●『夕陽の丘』からは、函館の街を見下ろす山頂のシーンから。続いては、中谷一郎さん扮す
　　　　　るヤクザの兄貴分との対決シーンです。浅丘ルリ子さん扮するヒロインのアップがインサート
　　　　　されます。真っ赤な背景で。「愛してるのよ！」。

　　　　　●『夜霧の慕情』からは、宮島の船着き場での桑野みゆきさん扮するヒロインとの再会のシー
　　　　　ン。この作品の中では初めて登場する宍戸錠さん扮する悪玉との格闘シーンです。本気で殴っ
　　　　　ているかのように見えるかなり激しい格闘シーン。『俺は待ってるぜ』での石原裕次郎×二谷
　　　　　英明戦、『太平洋のかつぎ屋』での小林旭×宍戸錠戦などに加え、日活映画における格闘シー
　　　　　ンのベスト5に入るのでは？。

　　　　　●『泣かせるぜ』からは、まずはラストシーン。荒くれ者の船員たちがお詫びのつもりで船か
　　　　　ら海へ飛び込みます（笑）。続いては渡哲也さんとの酒場での殴り合い、そして同じく渡哲也
　　　　　さんとの嵐の船上の甲板での格闘シーンです。

　　　　　●『嵐の勇者たち』からも早速、渡哲也さんとの格闘シーン。ボロボロになった渡哲也さんを
　　　　　吉永小百合さんがかばいます。そしてハウスボートの外に出た渡哲也さんが言います。「おめ
　　　　　え、海が好きか？」。答える石原裕次郎さん。「昔はな」。

　　　　　●『鷲と鷹』から、船の甲板でウクレレで弾き語りをする石原裕次郎さん扮する主人公。浅丘
　　　　　ルリ子さん扮するヒロインが近付いてきます。このシーンも詳細に登場します。

　　　　　●そして、海面から景色は神戸の港へ。『夜霧よ今夜も有難う』の巻頭のシーン。ダンススタ
　　　　　ジオで石原裕次郎さん扮する主人公から電話を受ける、浅丘ルリ子さん扮するヒロイン。そし
　　　　　て、数年後、主人公とヒロインとの再会のシーン、夜の波止場での敵との対決シーン、ヒロイ
　　　　　ンとの別れのシーンへと続きます。「僕たちは千五百回の昼と夜を取り戻したんだ。これでイ
　　　　　イんだ」。

　　　　　●その後は、「♪風は気ままに吹いている～」と歌う石原裕次郎さんが登場、様々な作品から
　　　　　のシーンが流れるハイライト。再び、北原三枝さんとの共演シーンが登場します。「結婚しよ
　　　　　う。君と結婚したいんだ」。

　　　　　●最後のシーンは、『二人の世界』のラストシーン。石原裕次郎さん扮する主人公と浅丘ルリ
　　　　　子さん扮するヒロインが踊ります。その主題歌が流れ、石原裕次郎さんの出演作のタイトルが
　　　　　年代順に（松竹作品『凍河』まで）テロップとして画面下から上に競り上がってきます。完。

◆ ◆ ◆

　　　　　…残念ながら、映画『アゲイン』のように、後日談のような物語が付属したアンソロジーとは
　　　　　なっていません。石原裕次郎さんのファンには充分楽しめる作品ですが、特には貴重なフィル
　　　　　ムが登場するわけでもないようです。

LAST UP DATE ◆ 2008年12月2日