幻の日活映画、その他（1960年）

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幻の日活映画、その他（1960年）

　　　　このコーナーはNOBOさんやkeiさん、サム・スペードさん、しょうちゃんなど、日活映画ファ
　　　　ンの皆様にご提供いただいた日活の広報冊子（？）《日活映画》誌面などに掲載されている予定
　　　　作品の告知や、由美子さんやツカさんにご提供いただいた新聞の縮刷版調査の内容を中心に、特
　　　　に幻の作品（実際には制作されなかった作品、タイトルや出演者が変更になった作品など）を紹
　　　　介します。

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　　　　●昭和35年1月号…
　　　　「赤木圭一郎『摩天楼の男』準備中。二月公開の総天然色大作『摩天楼の男』（城戸礼原作、監
　　　　　督／古川卓巳）は赤木圭一郎主演で小河内ダムにロケするダイナミックな男性篇の予定」
　　　　★結局、後にモノクロ作品として、二谷英明さん主演で制作されていますね。

　　　　「ぼくは『鉄火場の風』のあと、二月に『日本拳銃無宿』。それから『摩天楼の男』とアクショ
　　　　　ン専門だ」
　　　　★若手俳優たちの座談会より赤木圭一郎さんの談話。『日本拳銃無宿』は『拳銃無頼帖抜き射
　　　　　ちの竜』に繋がったものと思われます。

　　　　「超大作『ナイアガラの決闘』製作準備開始！。裕次郎他オールスター出演、日活超大作『ナイ
　　　　　アガラの決闘』は本年夏公開が決定、このほど現地ロケについて調査を開始した」
　　　　★結局、お流れになったようですね。実現していればどんな作品になっていたのか？。でもこの
　　　　　手の作品に付き物の観光案内的なシーンが邪魔をして、凡庸な作品になったかもしれません。

　　　　「『ドラムが俺を殺す』近日公開。既報、十二月の旭作品『ドラムが俺を殺す』（川内康範原作
　　　　　・脚本、蔵原惟繕監督）は、都合により本年三月に製作延期された。神出鬼没の内閣諜報部員
　　　　　に扮するアキラ初のミステリー活劇」
　　　　★結局、こんな作品は作られていないはずです。

　　　　「二本の菊村到作品に小林旭主演。『夜生きるもの』『けものの眠り』の二つの芥川賞作家・菊
　　　　　村到の小説の映画化にあたり、小林旭主演と決定、初の文芸活劇にアキラの新生面が期待され
　　　　　る」
　　　　★『けものの眠り』は長門裕之さん主演で作られましたね。『夜生きるもの』は？？？。

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　　　　●昭和35年3月号…
　　　　「『白い稲妻』（仮題）に赤木圭一郎主演。『鉄火場の風』の名コンビ、脚本／熊井啓、監督／
　　　　　牛原陽一、今度は赤木圭一郎の主演で『白い稲妻』を準備中。『鉄火場の風』で堂々裕次郎と
　　　　　張り合った赤木圭一郎の進境が注目される一作」
　　　　★どうなったんでしょうね？（笑）。『白い稲妻』というのなら、何かスキーとか雪山とかが出
　　　　　てきそうな雰囲気でもあるんですが。

　　　　「小林旭、和田浩治で『海上愚連隊』。森川哲郎原作の『海上愚連隊』（仮題）は洋上に活躍す
　　　　　るGメンや青年を描く壮快編。小林旭、和田浩治らの青春スター陣の出演が予定されている。
　　　　　公開日未定」
　　　　★和田浩治さんの“愚連隊”シリーズの一編とも取れますが、小林旭さんの主演なのに、それは
　　　　　ちょっと考えられません。もちろんこんな作品は作られていません。

　　　　「『世界を賭ける恋』の欧州ロケで文字通り世界を駆けめぐった日活映画は本年度も既報の『ナ
　　　　　イアガラの決斗』（石原裕次郎主演）ほか、今村昌平監督が赤道越えて遥かニューギニアにロ
　　　　　ケ計画中のもの、同じく南は比島（フィリピン）方面に材をとった『白い壁』などが予定され
　　　　　ている（監督／阿部豊）」
　　　　★この頃は海外ロケを頻繁に行なおうというパワーがあったんですね。でもどれも実現していな
　　　　　いように思いますが（笑）。

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　　　　●昭和35年4月号…
　　　　「日活四人男の上半期ダイアモンド番組決定　石原裕次郎-四月『あじさいの歌』、五月『青年
　　　　　の樹』、七月『天下を取る』（源氏鶏太作、週刊現代連載）、八月『ナイアガラの決斗』、小
　　　　　林旭-四月『渡り鳥いつまた帰る』、六月『嵐を突っ切るジェット機』、七月『南の空の渡り
　　　　　鳥』、八月『夜生きるもの』（菊村到作、週刊サンケイ連載）、赤木圭一郎-四月『邪魔者は
　　　　　消せ』、五月『拳銃無頼帖電光石火の男』、六月『ドラムが俺を殺す』、七月『コルトが背
　　　　　中を狙っている』、八月『挑戦者』（明星連載ボクサーもの）、和田浩治-五月『俺は銀座の
　　　　　騎兵隊』、六月『平凡、コロンビア募集主題歌による作品、七月『海上愚連隊』」
　　　　★『コルトが背中を狙っている』は、葉山良二さん主演作品となりました。

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　　　　●昭和35年5月号…
　　　　「八月お盆に『零戦黒雲一家』公開　先に裕次郎の八月お盆映画として、カナダロケによる壮図
　　　　　『ナイヤガラの決斗』を発表したが、都合により同作品の製作は一時延期、代って『零戦黒雲
　　　　　一家』を公開と決定した」
　　　　★しかし『零戦黒雲一家』は二年後の公開となります。

　　　　「キートン主演の喜劇映画　『刑事物語シリーズ』で活躍中の益田キートンがお家芸の喜劇畠で
　　　　　主演する映画として、『素晴らしき遺産』『娘ナフタリン部隊』の二本が決定、それぞれ五、
　　　　　六月中に公開の予定」
　　　　★後者は八月の『この鬚百万ドル』となったのかもしれません。

　　　　「赤木圭一郎の次回作決定　赤木圭一郎の次回作は『海を渡る波止場の風』と決定、『ドラムが
　　　　　俺を殺す』は当初の予定通り小林旭作品となった」
　　　　★『海を渡る波止場の風』も小林旭さん主演作品になりましたね。

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　　　　●昭和35年6月号…
　　　　「盛夏に贈る異色作二本。日活ではただいま夏の銀幕を飾る二本の異色作を準備中。一つは、赤
　　　　　木圭一郎主演で『海の情事に賭けろ』（長光太原作）、第三のタフガイスター赤木が初めて強
　　　　　烈なラブシーンを演じる青春情熱篇。もう一本は『狂熱の季節』（河野典生原作、雑誌宝石所
　　　　　蔵）、これはいわば新しい波運動（※ヌーベルバーグのことですね）で話題を呼んだ仏映画『
　　　　　勝手にしやがれ』の日本版とでもいうべき異色篇」
　　　　★前者は確かに赤木圭一郎さん主演で、後者は川地民夫さん主演で製作されましたね。

　　　　「今村昌平監督作品『殺し屋には墓場がない』は七月一週公開をめざしてただいま準備中」
　　　　★これは『豚と軍艦』のことのようです。

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　　　　●昭和35年7月号…
　　　　「赤木の新作『波止場の鷹』。タフガイの面目愈々新たな赤木圭一郎主演で、八月二週に『波止
　　　　　場の鷹』が準備中。大衆作家・梶尾悳三原作になる海洋アクション篇で、沈没船の秘宝をめぐ
　　　　　る潜水夫の活躍を描き、豊富な海中シーンが夏の銀幕に涼を呼ぶ」
　　　　★タイトルだけは後の石原裕次郎さん主演の映画になっていますね。内容は宍戸錠さん主演の『
　　　　　海の勝負師』に似ています（もちろん別ものですが）。

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　　　　●昭和35年11月号…
　　　　「井上ひろしのヒット曲『メトロは今日も終電車』の映画化や～（後略）」
　　　　★映画化されていませんねー（笑）。

　　　　「『あいつと私』　週刊読売連載の、石坂洋次郎の評判小説『あいつと私』は和田浩治の主演予
　　　　　定作として、日活映画化が決定した」
　　　　★結局、石原裕次郎さんのケガ復帰第一作となりました。

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　　　　●昭和35年12月号…
　　　　「アクション映画の巨匠野口博志が放つ『狼の砦に挑め』　葉山良二、小高雄二、中原早苗、白
　　　　　木マリは主演する息もつかせぬ迫力に満ちた快調のアクション篇」
　　　　★映画化されていませんね。正月（翌61年）第六週の作品らしいので、野口監督作品では『夜
　　　　　の挑戦者』のことでしょうか？。

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　　　　●《映画アルバム小林旭全作品集》7月25日発行（昭和35年）…
　　　　「週刊サンケイに連載された菊村到の推理小説《夜、生きるもの》やタイを中心にした東南アジ
　　　　　ア・ロケを敢行する渡り鳥シリーズ国外版『パシフィック・ポーターズ』などが近く撮影に入
　　　　　るものであり、マイト・ガイ・アキラの新しい飛躍が期待されそうである」
　　　　★『パシフィック・ポーターズ』は『太平洋のかつぎ屋』での主人公の勤め先となる、ならず者
　　　　　の集まりの怪しげな航空会社の名前ですね。『波濤を越える渡り鳥』の元のアイデアだったの
　　　　　でしょうか？。

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LAST UP DATE ◆ 2006年5月30日