新東宝映画の関連作品（1962年度以降分）

新東宝映画の関連作品（1962年度以降分）

使用している画像、その他の権利は全て、原権利者に帰属します。
映画・テレビドラマファン同志の楽しみのみを唯一の目的としたものであり、
利益を得たり、権利を侵害しようとするものではありません。

注）　他掲示板への転送など、画像の二次的な使用は厳禁いたします。

ここでは1962年以降に公開された新東宝映画の関連作品を紹介します。
主に新東宝映画の残骸や大蔵貢氏に関連した怪談映画など。

各作品の解説も順次行なっていきたいと思います。

　　1962年1月

　　　大吉ぼんのう鏡 （シナリオ文芸協会＝大宝）
　　　　監督／猪俣勝人　脚本／猪俣勝人、田辺虎男　撮影／森隆司郎　音楽／塚原晢夫
　　　　出演／竜崎一郎、筑波久子、川喜多雄二、炎加世子、殿山泰司、杉寛、松原緑郎、市川春代、
　　　　　　　坂口芙沙子、秋永玲子、折原啓子、浦野光、林冲〔香港？男優〕、
　　　　　　　陳恵珠（台湾女優〕、寺内大吉、他
　　　　…寺内大吉原作作品。武蔵野にある正念寺を舞台に、本堂裏の土地をスポーツセンターにしよう
　　　　　とする者たちの悪巧みが僧侶・本来和尚（竜崎一郎）や檀家の人たちを巻き込み、騒動を起こ
　　　　　すというのが大筋。日活を退社してフリーになった筑波久子さんが、ここでは尼僧・秀玉尼に
　　　　　扮しています。また60年に大島渚監督にスカウトされ、松竹『太陽の墓場』に出た炎加世子
　　　　　さんが、フリーになった後に出演されているようです。役は、三河屋酒店の娘・房江。筑波久
　　　　　子さんの役は、秀玉尼。また、和尚が従軍中に愛した中国娘・楊麗華に扮した陳恵珠さんは、
　　　　　1958年に東宝『東京の休日』に出演、海外の女優さんとしては初めて東宝映画に出演した女
　　　　　優さんなのだそうです。その娘さんは、浅井星光〔ほしみ〕という芸名でアクションもこなす
　　　　　女優さんで（お父さんは殺陣師もしていたという空手家なのだとか）、04年ケイエスエス『
　　　　　メシア～伝えられし者たち』などに出演されています。

　　　黒と赤の花びら （佐川プロ＝大宝）
　　　　監督／柴田吉太郎　脚本／柴田吉太郎、宮川一郎　撮影／須藤登　音楽／菊村紀彦
　　　　出演／天知茂、上月左知子、三原葉子、丹波哲郎、松浦浪路、沖竜次、安井昌二、細川俊夫、
　　　　　　　大友純、二本柳寛、九重京司、秋山れい子、扇町京子、松尾和子、他
　　　　…海上保険の調査官・田代雄二（天知茂）と、恋人を殺された笹本アキ子（上月左知子）が遭難
　　　　　事故の真相に迫るというのが大筋。松浦浪路さんはこの作品で映画界を去ります。

　　2月

　　　俺が裁くんだ （新東宝＝日活）
　　　　監督／橋田寿久年　脚本／飯田光雄、渡辺祐介　撮影／岡田公直　音楽／渡辺宙明
　　　　出演／松原禄郎、星輝美（後にてるみ）、天知茂、三原葉子、細川俊夫、殿山泰司、
　　　　　　　富田仲次郎、大原譲二（後にジョー・オハラ）、岡竜弘、川部修詩、高松政雄、橘恵子、
　　　　　　　沢井三郎、松原由美子、九重京司、西朱実、園ゆり、他
　　　　…お蔵入りしていた作品を日活に売り渡し配給したのではないでしょうか？。1961年中頃に制
　　　　　作されていたらしく、同時期には、中川信夫監督で大空真弓（後に眞弓）さんなどが出演の『
　　　　　愚連隊』という作品も制作予定されていたようです。主人公・小坂五郎（松原禄郎）の兄・四
　　　　　郎（細川俊夫）は横浜の税関に勤め麻薬組織の調査中、謎の交通事故に遭い死ぬ。五郎を雇っ
　　　　　てくれた運輸会社の社長も組織とのもめ事から殺し屋・興津（天知茂）に殺されるので、麻薬
　　　　　ルートを手中に入れようとしている国松組に復讐を誓った五郎は射撃訓練に励む。ある日、裏
　　　　　町で国松を発見した五郎は銃を撃つが、それた弾丸がタクシー運転手を傷つけてしまう。その
　　　　　運転手は偶然にも親しくなっていた遊覧船の案内ガール・弘瀬ミキ（星輝美〔後にてるみ〕）
　　　　　の兄だったと知り、愕然とする。興津が賭博で逮捕されたと知り、同じ拘置所に潜り込んだ五
　　　　　郎は、興津とともに脱走、車で兄の殺された場所へたどり着くと、興津に復讐の拳銃を向ける
　　　　　…というのが大筋。三原葉子さんの役は、四郎の恋人・みどり、殿山泰司さんの役は、五郎を
　　　　　信じる刑事・大和田。《情報提供／keiさん》

　　　　★新東宝退陣後、大蔵貢社長が、以前から自身の経営下にあった富士映画、大和フィルムなどを
　　　　　統合して、大蔵映画株式会社を設立します。しかしその第1弾として作った大作『太平洋戦争
　　　　　と姫ゆり部隊』が興行的にコケてしまい、第一線から撤退することになります。その後は、ピ
　　　　　ンク映画の製作などに乗り出します。それらの作品の説明は…ここでは省きます（笑）。専属
　　　　　だった三条まゆみさんとか大好きだったんですが（笑）。

　　4月

　　　太平洋戦争と姫ゆり部隊 （大蔵映画）
　　　　監督／小森白　脚本／館岡謙之助、七条門、金田光夫　撮影／吉田重業、岩橋秀光
　　　　音楽／古賀政男、近江俊郎
　　　　出演／嵐寛寿郎、山村聰、柳永二郎、上田吉二郎、石黒達也、岡譲二、竜崎一郎、植村謙二郎、
　　　　　　　伊豆肇、御木本伸介、上田寛、林寛、笠間雪雄、南原宏治、安部徹、
　　　　　　　松本朝夫（後に朝生）、鮎川浩、小高まさる、九重京司、
　　　　　　　大原譲二（後にジョー・オハラ）、若宮隆二、白川晶雄、三原浩、生方功、久野四郎、
　　　　　　　岩月輝夫、菊地双三郎、冬木京三（後に喬三）、瀬良明、寺崎恒夫、森幸太郎、
　　　　　　　千葉隆三、外野村晋、深見泰三、浅野進次郎、国（後に邦）創典、山長、木村天竜、
　　　　　　　明石竜二、松下猛夫、村田雅彦、佐々木一哲、黒川由希夫、酒匂真直、橋爪譲二、
　　　　　　　大渡猛、重富孝男、加藤雄二、三鬼弘、林文雄、神田正夫、
　　　　　　　ハロルド・（S）・コンウェイ、ジョニー・ユセフ、ポール・シューマン、
　　　　　　　レオン・カヴァロ、上月左知子、高友子、長谷川待子、仲宗根美樹、野々村律子、
　　　　　　　扇町京子、月野百合子、美谷小百合、水上恵子、大原永子、三鈴恵以子、真山くみ子、
　　　　　　　本間文子、花岡菊子、市川春代
　　　　　　〔姫ゆり部隊〕　田崎芳江、山崎宏子、軽登亜子、鈴村静恵、山県智子、遠藤都輝子、
　　　　　　　植松ひとみ、松本洋子、八田幸子、滝城ゆかり、三木浩子、沼田弘美、嘉手納清美、
　　　　　　　小野知子、河口洋子、光美智子、星野暁美　●
　　　　…沖縄第一高等女学校の生徒たちで編成された姫ゆり部隊が玉砕していく姿を悲壮な場面で興行
　　　　　的に描いた大蔵貢氏原作の大作だそうです。この作品が大当りでもしていれば、また違ってい
　　　　　たかもしれません。上月左知子さんの役は、姫ゆり部隊の教師・大峰邦子、扇町京子さんの役
　　　　　は、看護婦・曽我、嘉手納清美さんの役は、姫ゆり部隊の一人。
《情報提供／ツカさん》

　　5月

　　　大笑い清水港三ン下二挺拳銃 （TR3プロ＝東宝）
　　　　監督／斎藤寅次郎　脚本／福田良二、朝日奈喬、七条門　撮影／岡田公直　音楽／中村淳真
　　　　出演／平凡太郎、三条魔子、小桜京子、谷村昌彦、田崎潤、柳沢真一（後に柳澤愼一）、
　　　　　　　柳家金語楼、トニー谷、津路清子、山田吾一、木田三千雄、空飛小助、伊達正三郎、
　　　　　　　田端義夫、菅原文太、浜野桂子（後に圭子）、泉和助、林家珍平、森川信、布地由起江、
　　　　　　　西朱実、扇町京子、谷晃、泉謙二、他
　　　　…野沢純原作作品。黒駒勝蔵（谷晃）の一家や悪玉の青鬼の金平（泉謙二）に苦しめられる番太
　　　　　（平凡太郎）や伊多八（谷村昌彦）、妹を殺された有楽町のお町（小桜京子）は清水次郎長（
　　　　　田崎潤）の一家に入門、ついには悪玉たちを退治するというのが大筋。製作は61年で、駿河屋
　　　　　の娘・お光の役で出演した三条魔子さんは、この後、大映へ移籍、62年の『江梨子』への出演
　　　　　を機に名前も三条江梨子と改名します（しかし、後にまた魔子に戻されています）。またこの
　　　　　作品は東宝『吼えろ脱獄囚』の併映で東宝から配給されたようですね。『大笑い次郎長一家
　　　　　三ン下二挺拳銃』のタイトル表記の文献もあります。

　　6月

　　　支那怪談死棺破り・沖縄怪談逆吊り幽霊 （大蔵映画・東方影業＝大蔵映画）
　　　　監督／小林悟、邵羅輝　脚本／金田光夫、松井稔　撮影／岩橋秀光
　　　　音楽／近江敏郎、長瀬貞夫
　　　　“沖縄怪談逆吊り幽霊”　出演／香取環、扇町京子、大原譲二（後にジョー・オハラ）、
　　　　　　御木本伸介、九重京司、若宮隆二、原聖二、菊池双三郎、大原永子、松本洋子、鈴木淑恵、
　　　　　　河野信三、花ノ本寿〔振付〕、花ノ本寿舞踊団　●
　　　　“支那怪談死棺破り”　出演／梅芳玉、白蓉、一条美矢子、山本浩、白川晶雄、江波志郎、
　　　　　　小野彰子、白石冬美、佐々木迪子、鈴木洋子、三浦敏男、小坂光宏、酒匂真直　●
　　　　　　立見秀子？
　　　　…二本立てのように思わせて、実はそうではないあたりが商売がうまいところ（笑）。“沖縄怪
　　　　　談～”は沖縄版“四谷怪談”。沖縄随一の美人と言われた社長令嬢・玲子（香取環）と結婚し
　　　　　た比嘉健生（大原譲二〔後にジョー・オハラ〕）が謎の熱病に冒され危篤となる。自分の死後
　　　　　、他の男に体を許してほしくない健生が、ある話を始める…。“支那怪談～”はその“沖縄怪
　　　　　談～”の劇中に語られる中国の楚の時代の伝説として登場。妻・田花（白蓉）の貞淑さを試す
　　　　　ために魂となった学者・荘周（梅芳玉）が若い王子（山本浩）にとり憑いて現われる。田花は
　　　　　魂が抜けて仮死状態の荘周は死んだものと思い、死体を棺に入れ地下室へ安置して、王子に心
　　　　　を奪われる。ところが王子が難病にかかり、当時、効くと言われていた人間の心臓を取り出す
　　　　　ため、地下室の荘周の遺体の棺を破り、心臓を取り出すと、王子も死んでしまい…。そして、
　　　　　話は“沖縄怪談～”に戻り、操を守る決意をした玲子が自分の顔を傷つけ醜悪な姿になるので
　　　　　、それを嫌った健生が殺し屋・井波（若宮隆二）を雇い、玲子を殺す。死人の足に釘を打つと
　　　　　亡霊が出ないという迷信に従い、玲子の足を釘付けにするが…頭上から逆さになって現われる
　　　　　幽霊に意外性があって驚かされます。しかしこの白石冬美さんって、やはりあの白石冬美さん
　　　　　なのでしょうかね？。扇町京子さんの役は、健生の愛人・朱美。
　　　　　　《情報提供／ツカさん》

　　　波止場で悪魔が笑う時 （大宝）
　　　　監督／中川順夫　脚本／中沢信三、策明順　撮影／宮西良太郎　音楽／奥村一
　　　　出演／牧真史〔二役〕、泉京子、筑紫あけみ、丘野美子、月田昌也、二本柳寛、鮎川浩、
　　　　　　　深見泰三、コロムビア・トップ、コロムビア・ライト、村上美重、宮沢貴子、他
　　　　…麻薬密輸に関係して殺されたらしい弟・信吉（牧真史）の復讐を誓う船員・速水健次（牧真史
　　　　　）〔二役〕が、友人・岡本純吉（月田昌也）の妹で、弟の恋人だった由紀（丘野美子）ととも
　　　　　に真相を追うというのが大筋。泉京子さんの役は、悪の組織の隠蓑になっているバー“銀河”
　　　　　のダンサー・緑川ルミ。日活に在籍していた丘野美子さんがフリーとなって出演された最後の
　　　　　映画です。また筑紫あけみさんもこの後、63年東映『ギャング対Gメン・集団金庫破り』に
　　　　　出演して映画界を去っています。

　　　悲しみはいつも母に （新東宝＝大映）
　　　　監督／中川信夫　脚本／館岡謙之助　撮影／平野好美　音楽／木下忠司
　　　　出演／望月優子、大空真弓（後に眞弓）、山田幸男、浜野桂子（後に圭子）、橘恵子、中村彰、
　　　　　　　山下明子、若杉嘉津子、西朱実、林寛、花岡菊子、鈴木信二、伊藤正幸、瀬川克弘、
　　　　　　　鷹理恵子、扇町京子、秋山れい子、渡辺高光、他
　　　　…西村滋原作《ある母の死より》の映画化作品。やはりお蔵入りになっていた作品を大映に売り
　　　　　渡して上映してもらったようです。そもそもは『愚連隊』という題名だったのではないでしょ
　　　　　うか？。不良青年・尾崎健一（山田幸男）とその母・フミ（望月優子）、玩具工場で働きなが
　　　　　ら高校に通う妹・敏子（橘恵子）たちの物語です。大空真弓（後に眞弓）さんの役は、ブルジ
　　　　　ョア育ちだが、家族愛に飢えている園田千秋、浜野桂子（後に圭子）さんの役は、敏子の高校
　　　　　の教師・江上邦子。

　　上映日時不明

　　　ハンマー・キット （新栄プロ＝新東宝興業株式会社）
　　　　出演／浅見比呂志、鮎川浩、小高まさる、中野ブラザース、泉田洋志、牧冬吉、出羽けんじ、
　　　　　　　岬洋二、月田昌也、武石昇、川上正夫、マイク・ダニーン、宮沢元、坂井すみえ、他
　　　　…“地底城の決斗”“地球最后の日”“謎の指輪”“晴海埠頭の対決”の4部作一挙上映（元々は
　　　　　テレビ放映予定作品？）のヒーローもの。以前には、1962年に国際放映が作った『ハンマー
　　　　　・キッド』（“キット”ではない）という作品だとする文献もありました。詳細は不明の謎の
　　　　　作品です（笑）。《情報提供／ツカさん》

　　1963年1月

　　　海女の怪真珠 （大蔵映画・東方影業＝大蔵映画）
　　　　監督／小林悟　脚本／岡戸利秋、金田光夫　撮影／岩橋秀光　音楽／近江俊郎、長瀬貞夫
　　　　出演／梅若正二、泉京子、扇町京子、大原譲二（後にジョー・オハラ）、一条美矢子、
　　　　　　　黄宗迅〔台湾？男優〕、香取環、田村アツ子、鈴木洋子、八田幸子、小野彰子、
　　　　　　　黄清石〔台湾？男優〕、九重京司、大原栄子、遊娼〔台湾？女優〕、他
　　　　…57年松竹映画『「海人舟」より禁男の砂』で主人公の海女・ナミに扮して和製シルヴァーナ
　　　　　・マンガーノと言われ、『続・禁男の砂』『続々禁男の砂・赤いパンツ』『禁男の砂・真夏の
　　　　　情事』と出演、“海女女優”とまで言われた泉京子さんを担ぎ出してまで作られた海女映画。
　　　　　台湾からの宝石の密輸船を追って、中国国際警察の宋（大原譲二〔後にジョー・オハラ〕）と
　　　　　婦人部員の王令芳（一条美矢子）が来日する。元・ボクサーの健二（梅若正二）は、キャバレ
　　　　　ーのマダム・はるみ（扇町京子）の紹介で国際諜報機関の一員として暗躍する悪玉・梶原（九
　　　　　重京司）の部下に。梶原は、部下の竜造の妹で、海女のトミ（泉京子）たちに宝石を沈めた東
　　　　　竜島近海を探らせる。組織の秘密を知った竜造や海女たちは次々と消されていく。トミも渦潮
　　　　　の中へ投げこまれるが、岩礁に這い上がる（手にあるのが怪真珠。笑）。捜査中の宋と令芳も
　　　　　組織に捕えられ、二人の監視をする健二も警視庁国際係ということがバレるが、三人は脱出、
　　　　　ついに組織は警官隊に摘発される。

　　　社長と女秘書全国民謡歌合戦 （大蔵映画）
　　　　監督／近江俊郎　脚本／松井稔　撮影／岩橋秀光　音楽／近江俊郎
　　　　出演／佐山俊二、梅若正二、扇町京子、大原栄子、一条美矢子、並木一路、島倉千代子、
　　　　　　　神楽坂まん丸、コロムビア・トップ、白根一男、東芝三人娘、多摩幸子、渚幸子、
　　　　　　　高城丈二、市川順子、由利徹〔特別出演〕、他
　　　　…『社長と令嬢と秘書全国民謡歌合戦』というタイトル表記の文献もあります。妻・ダボ子（大
　　　　　原栄子）を恐れる恐妻家ながら、愛人・大木待子（扇町京子）を宣伝課長に据えている太陽産
　　　　　業の社長・大山満（佐野俊二）は、秘書の七条宮子（一条美矢子）にまでモーションをかける
　　　　　女好き。この社長がもう一つの趣味である民謡を録音するため、北海道から沖縄まで旅をする
　　　　　というのが大筋。

　　6月

　　　怪談異人幽霊 （大蔵映画）
　　　　監督／小林悟　脚本／小林悟、金田光夫　撮影／岩橋秀光　音楽／近江俊郎、長瀬貞夫
　　　　出演／梅若正二、一条美矢子、扇町京子、江波志郎、エンベル・アルテンバイ、ロミー・マイ、
　　　　　　　C・J・マクムマン、エデス・ホッパー、トニー・セイテラ、
　　　　　　　フアテフ・アブドラシッド、五月藤江、小野彰子、白川晶雄、一条ゆかり、
　　　　　　　岩田レナ（後に路加奈子）、菊地双三郎、三浦敏男、九重京司、
　　　　　　　大原譲二（後にジョー・オハラ）、国（後に邦）創典、大原永子、他
　　　　…日本人女性・大原京子（扇町京子）と深い仲になったロバート（エンベル・アルテンバイ）は
　　　　　妻・ペギー（ロミー・マイ）に詰め寄られ、ドライブの途中で崖から妻を転落死させる。実は
　　　　　ロバートの狙いは京子の持つ遺産で、その後、ペギーの亡霊が出没するようになるというのが
　　　　　大筋。一条美矢子さんの役は、京子の恋人である南条虎夫（江波志郎）の妹・宮子、梅若正二
　　　　　さんの役は、宮子の婚約者である弁護士・桜井邦彦。

　　　日本残酷物語 （新東宝興業）
　　　　監督／中川信夫、小森白、高橋典　構成／石川甫、大山勝美、高橋典
　　　　撮影／瀬川浩、日田勇、吉田重業　音楽／小沢秀夫、山本丈晴
　　　　…記録映画。ヤコペッティの映画『世界残酷物語』の影響で制作された作品。地方の奇習や珍し
　　　　　い風俗などを現代文明社会と対比によって提示批判を試みるという制作意図。主な内容は“猿
　　　　　の脳味噌料理”“アイヌの熊祭り”“猫の皮はぎ”“田県神社の陰陽祭”“サリドマイド児”
　　　　　“トドの狩猟”“闘犬や闘鶏”など。《情報提供／ツカさん》

　　1964年5月

　　　怪談残酷幽霊 （大蔵映画）
　　　　監督／小林悟　脚本／小林悟、小川俊夫　撮影／岩橋秀光　音楽／長瀬貞夫
　　　　出演／大友純、大原永子、若宮隆二、扇町京子、一条美矢子、美舟洋子、九重京司、
　　　　　　　菊地双三郎、岡竜弘、白川晶雄、他
　　　　…太平洋戦争中、日本軍が占領地で収集した貴金属を着服する悪い大佐・権藤（大友純）が、部
　　　　　下・江崎中尉（若宮隆二）の妻・琴江（扇町京子）に横恋慕する。権藤は腹心の黒岩大尉（菊
　　　　　地双三郎）と共謀して江崎を殺し、琴江の肉体を奪うが、そのため琴江は自殺する。続いて、
　　　　　権藤は愛人・北川春代（美舟洋子）と暮らすために本妻・きく（大原永子）を殺す。その結果
　　　　　、作戦会議の途中にまで亡霊を見るようになり、破滅していくというのが大筋。一条美矢子さ
　　　　　んの役は、琴江の妹・れい子。

　　9月

　　　明治大帝御一代記 （大蔵映画）
　　　　原作／企画／総監督／大蔵貢　監督指導／渡辺邦夫　監督補佐／近江俊郎、小林悟
　　　　支那戦争篇／並木鏡太郎　撮影／岩橋秀光　音楽／長瀬貞夫
　　　　出演／嵐寛寿郎（明治大帝）、匿名・青年（若き日の天皇）、岡譲司、安井昌二、宇佐見諄也、
　　　　　　　富田浩太郎、美川陽一郎、久松保夫、永井秀明、近衛敏明、高田稔、江川宇礼雄、林寛、
　　　　　　　細川俊夫、清川新吾、寺島貢、浅野進次郎、若山弦蔵、若宮隆二、
　　　　　　　大原譲二（後のジョー・オハラ）、九重京司、並木一路、高島忠夫、宇津井健、天知茂、
　　　　　　　明智十三郎、御木本伸介、沼田曜一、中山昭二、白川晶雄、今清水一、五月藤江、
　　　　　　　一条美矢子、島田磐也、高橋博（解説）　●　泉田洋志（技闘師として）、他
　　　　…嵐寛寿郎さん主演の“明治天皇”作品を再編集、追加撮影をして、明治天皇の誕生から逝去、
　　　　　乃木希典将軍夫妻の殉死までを描いています。《情報提供／ツカさん》

　　1964年10月

　　　日本拷問刑罰史 （小森白プロ／新東宝映画配給）
　　　　監督／小森白　脚本／吉田義昭　撮影／月田勇　音楽／高森照邦
　　　　出演／徳大寺君枝、森美沙（後の梓英子）、杉山健、松島洋子、和佐田糸美、西条ゆかり、他
　　　　…名和弓雄原作作品。戦国時代から江戸末期あたりまでの残虐な拷問や処刑の数々が描かれてい
　　　　　ます。

　　1967年5月

　　　生首情痴事件 （大蔵映画）
　　　　監督／小川欽也　脚本／津川京一　撮影／岩橋秀光　音楽／長瀬貞夫
　　　　出演／火鳥こづえ、泉ユリ、高月絢子、鶴岡八郎、冬木喬三、椙山拳一郎、泉田洋志　●
　　　　…財産目当てのために藤山五郎（鶴岡八郎）は玲子（火鳥こづえ）と結婚するが、愛人である有
　　　　　島順子（高月絢子）にそそのかされ、玲子に睡眠薬を飲ませて列車に轢かせ殺してしまう。首
　　　　　だけが発見されず、その後、玲子の生首が怨霊となって夫に復讐を遂げるという話。泉田洋志
　　　　　さんの役は、顔をやけどした順子の治療をする医師・三田仁、泉ゆりさんの役は、その愛人で
　　　　　ある看護婦・木下マチ子。大蔵愛欲怪談の第一弾と言われています。もちろんジャンルとして
　　　　　はピンク映画です。パートカラー。《情報提供／ツカさん》

　　1968年8月

　　　怪談バラバラ幽霊 （大蔵映画）
　　　　監督／小川欽也　脚本／津川京一　撮影／岩橋秀光　音楽／長瀬貞夫
　　　　出演／秋川令子、林美樹、清水世津、椙山拳一郎、鶴岡八郎、二階堂浩、冬木喬三、藤洋子、
　　　　　　　北村淳、他
　　　　…大蔵愛欲怪談の第二弾。ジャンルとしてはピンク映画です。父の急死を知り、帰国したヒロイ
　　　　　ン・小泉正子（秋川令子）は、財産目当てに父の後妻・友子（清水世津）とその愛人・塚越五
　　　　　郎（椙山拳一郎）、姉・澄江（林美樹）の恋人で以前の正子の婚約者だった伸二郎（二階堂浩
　　　　　）によって殺され、海岸近くの洞窟でバラバラにされ砂浜に埋められる。その夜からヒロイン
　　　　　の怨霊が、手や足、首、胴などバラバラのまま、亡霊となって出現する話。地方版タイトルと
　　　　　して『怪談乳房バラバラ事件』もあります。パートカラー。

　　1976年5月

　　　新怪談色慾外道お岩の怨霊四谷怪談 （大蔵映画）
　　　　監督／小川卓寛　脚本／津川京一　撮影／柳田友春（後に友貴）　音楽／長瀬貞夫
　　　　出演／南ゆき、城新子、中野リエ、乱孝寿、吉岡一郎、松浦康、姿良三、今泉洋、藤山竜、
　　　　　　　木南清、関多加志、他
　　　　…鶴屋南北の《東海道四谷怪談》を下敷きにしたピンク映画。当時の人気の女優・南ゆきさんの
　　　　　主演です。病弱な妻・美佐（南ゆき）と心臓に障害を持つ子供を抱える宝石ブローカー・田代
　　　　　二郎（吉岡一郎）が、バーのママ・夕子（城新子）に紹介され、金満家の医師・山本恒三（今
　　　　　泉洋）の娘・邦子（中野リエ）と出会い一目惚れされる。娘を思う山本は美佐に砒素を飲ませ
　　　　　、ついには死なせてしまうが、美佐の亡霊が現われるようになり…。乱孝寿さんの役は、主人
　　　　　公の顧客で浮気相手の一人・有沢敏子。タイトルバックに60年の『地獄』を、高僧の語りの
　　　　　シーンには58年の『東海道四谷怪談』のフィルムを挿入しています。監督の小川卓寛という
　　　　　のは小川欽也さんの別名です。

　　1995年8月

　　　色慾怪談発情女ゆうれい （大蔵映画）
　　　　監督／小林悟　脚本／小林悟、如月吹雪　撮影／柳田友貴　音楽／竹村次郎
　　　　出演／冴島奈緒、貴奈子、吉行由実、桃井良子、港雄一、白都翔一、樹かず、他
　　　　…小林悟監督作品。父・建造（港雄一）が開院したが20年近く閉鎖されていた医院を再開させ
　　　　　ることになった神崎雄一（白都翔一）と妻・秋絵（貴奈子）。しかし、妖艶な看護婦の幽霊・
　　　　　阿部真実（冴島奈緒）の出現に悩み、雄一の後輩である記者・高橋正也（樹かず）が調査を行
　　　　　なうと、以前起こった凄惨な事件が浮かび上がってきて…というピンク映画の形を借りた怪談
　　　　　もの。吉行由実さんの役は、建造の妻で、夏実を殺してしまった静香。小林悟監督（原作も）
　　　　　作品の大蔵映画には、1998年3月の『吸血姫したたる美乳』という気になる（笑）タイトル
　　　　　の作品もありますね。

　　1997年8月

　　　色慾怪談江戸の淫霊 （オフィス・ユリカ／大蔵映画）
　　　　監督／酒井信人　脚本／山田誠二　撮影／渡辺伸人　音楽／西嶋康倫
　　　　出演／浦野蓮、陳薫英、ちょみ、福山龍次、平井靖、他
　　　　…浪人・笹山兵十郎（浦野蓮）と愛人・おまき（ちょみ）は刑場のさらし首を番するアルバイト
　　　　　（笑）をしている。父親の首を盗もうとした娘（陳薫英）を自分が借金をしている相手・金兵
　　　　　衛（平井靖）に抱かせる兵十郎。娘の身請け金を値切った金兵衛を殺し、目撃者である娘も殺
　　　　　してしまい…。2002年には同じくオフィス・ユリカ企画（大蔵映画配給ではない）の三輪ひ
　　　　　とみさん主演のオムニバスもの『怪奇怪談全集』があり、その第一話の副題は“怪談異人幽霊
　　　　　”。これをオマージュととるかパクリととるか（笑）。2003年には同じく山田誠二監督作品
　　　　　のオフィス・ユリカ『新怪談残虐非道・女刑事と裸体解剖鬼』があります。一見、往年の新東
　　　　　宝作品のタイトルのパロディに見えて、あまりイケていませんね（笑）。

　　　　★1963年には、志村敏夫監督と主演に前田通子さんを起用した台湾映画『女真珠王の挑戦』と
　　　　　『悲恋』（『愁風愁雨割心腸』という表記の文献もあります）という二本の作品があります。

★このコーナーは当webを訪れてくださる多くの新東宝映画ファンの方の協力を得て
作成しています。当Webの資料として関係者以外の持ち出しを禁じます。
LAST UP DATE ◆ 2021年1月19日